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新着情報

VICアカデミーを実施しました

2020年 08月 28日

VICアカデミーとは、弊社理念にある「学習と成長」の実践の一つとして開催している
VIC社員及び関係者のための勉強会です。

日にち:2020年8月14日
テーマ:「弁護士の仕事と企業法務の判例 2」
講師:西川法律事務所 弁護士 西川 将史 氏

6月に実施して好評だった「弁護士の仕事と企業法務の判例」の第2弾です。
再び、弁護士の西川氏にご登壇いただきました。
前回、時間切れとなり、答えきれなかった受講者からの質問と、受講者の関心が高そうなテーマを中心にお話しくださいました。

■質問に対する回答について
メンバーからの質問とその回答を一部掲載いたします。

Q. 原告が求める支払額に対し、判決で命じられる支払い金額が少ないのはなぜか
A. 民事裁判で言えば、原告が請求した範囲内で判決を出すという裁判のルールがあるということ。また、明確な金額が計算できないような損害賠償では、請求する側の心情として、多めに算定をするということがあります。

Q. 裁判が長引くというのはどういう時か、長引かせる権利は誰にあるのか
A. 裁判所には訴訟指揮権というものがあり、訴訟全体をコントロールする権限を持っています。日本の場合は、当事者双方が、もうこれ以上、証拠も主張することもない、という状態になってから判決を出すという傾向があるため、長引くことが多いと思います。
最短で1、2ヶ月、スムーズに進んでも半年から1年程度、争う場合は1、2年で第一審が終わることも普通です。

Q. パソコンやスマホの覗き見は罪になるか
A. 会社の重要な情報を外で見ていて、たまたま覗き見された場合はまず犯罪にならないと思いますが、民事の領域で会社に対する損害賠償を請求されるということはあり得ます。
企業の機密情報を意図的に売るとなると、不正競争防止法などで犯罪になります。また、その企業の業務が混乱すると分かっていて、情報を拡散することは、業務妨害罪にとなり、それを元に恐喝をすれば脅迫、恐喝という犯罪になり得ます。
また、内容によっては名誉棄損で訴えられるという可能性もあります。

Q. ネットストーカーは罪になるのか
A. インターネットや、SNS上などで、嫌がっているのにつきまといをすることは、迷惑防止条例に違反するので、罪になります。懲役1年以下、常習だと2年以下といった犯罪になります。刑務所に送られる可能性があります。
SNS上にあげられた写真から家を特定して、それをWebに上げると、名誉毀損罪などは十分あり得ます。またプライバシーの侵害で、民事で損害賠償を請求されることもあり得ます。

■法律と契約について
法律:国家が定める社会生活(取引)のルール
契約:当事者が定める社会生活(取引)のルール
契約は口頭の合意だけでも成立します。書面(契約書)はその証拠にすぎません。
ただし契約によっては、法律で書面の作成が義務付けられています。

Q. 契約で、法律と異なるルールを定めた場合、どちらが優先されるか
A. 当事者同士が、民法や商法とは異なる取引のルールを定めれば、その契約のルールが優先されます。
日本は自由主義の国のため、国家権力が国民の取引や生活にできるだけ干渉しない、という考えがあります。
ただし、労働法、消費者法、下請法、貸借法など、一部の法律の領域においては、法律が優先されます。これらに共通することは“立場が異なる人同士の契約”であるということです。立場の強い人に有利なルールになる可能性があるため、法律が介入します。
また、民法に定められた公序良俗違反、モラルに大きく違反する契約も無効になります。
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今回もボリュームたっぷりの2時間でしたが、個人的な関心による質問も多く飛び交い、熱い勉強会となりました。法律の成り立ちには、社会のこれまでの経験や知恵が生かされている、ということが理解できました。