バリューイノベーションは社員教育でお悩みの中堅・中小企業様の社員研修・社員育成をお手伝いする企業研修の会社です。

新着情報

VICアカデミーを開催しました。

2022年 02月 14日

VICアカデミーは弊社理念にある「学習と成長」の実践の一つとして開催しています。

今回は、劇団四季で照明を担当し、現在は有名アーティストのコンサートをメインに活動している
株式会社 エー・プランニング LIGHTING DESIGNER 小川 幸一様をお招きして
「照明から見た表舞台・裏舞台」をテーマにお話しいただきました。

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 【小川幸一氏実績】
【劇団四季】1993年から
『オペラ座の怪人』チーフ
『美女と野獣』オープニングスタッフ/ムービングオペレーター
『ライオンキング』オープニングスタッフ/ムービングプログラマー
              など数多くの大型作品からツアー公演に参画

【フリー LIGHTING DESIGNER】2001年から
『MASK of LOVE』で照明デザイナーデビュー
              他ミュージカルやストレートプレイ、バレエなどを担当
『嵐』『Kis-My-Ft2』『AI』『松任谷由実』のコンサートツアーにオペレーターとして参画
              NHK紅白歌合戦にも照明スタッフとして参画

【オリンピック】
『長野オリンピック1998』『TOKYO2020オリンピック・パラリンピック』開会式閉会式に
照明スタッフとして参画
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ ■エピローグ
1993年4月に関西の放送技術の専門学校「放送芸術学院」に入学。
劇団四季が『美女と野獣』の日本公演を2年後(1995年)に開幕するためにスタッフ募集をしており、 面接を受けた際に「スタッフとして勉強しながら2年後に備えてほしい」と照明部の部長に懇願され、 面接から3日後に『オペラ座の怪人』のスタッフになった。
『美女と野獣』では、ムービングライトを使うが、日本で初めて使う照明機材で当時は特許の制約があり、ムービングライトの会社の社員を雇わなければ使用できなかった。
しかし、劇団四季では大阪300台、東京300台の計600台使うので劇団四季の社員が一旦退社してムービングライトの会社に入社し、劇団四季に出向というスキームでやることになった。
※ムービングライト:色彩・光量・光の方向を、コンピュータによる遠隔操作で高速かつ自在に制御するスポットライト

■照明の仕事
照明の仕事の内容は大まかに分けるとデザイナー、プログラマー、チーフ、オペレーター、ピンフォロー、ステージフォローの6つがある。
「デザイナー」は、ショー全体の明かり(照明)のすべてのプランとデザインを考える。
「プログラマー」は、デザイナーが立てたデザインとプランを実際に再現できるようにする。
今の照明はコンピューター制御になっており、プログラミングしなければいけないのでデザイナーの プラン通りの動きをつける。
「チーフ」は、ショーが始まった時の照明全体の統括をする。
※オペレーターとピン・フォロースタッフに指示を出したりもする。
「オペレーター」は、本番中に客席側からプログラムされた照明を再生していく。
※コンサートでは、一般の照明の他にレーザー担当と電飾担当がいる。
「ピンフォロー」は、役者やアーティストを手動のスポットライトで追いかけ続ける。
「ステージスタッフ」は、セットに照明を仕込んだ時の本番中のステージ周りの転換やトラブル対応などを行う。

■仕事の流れ
照明は会場に行って仕込んでみないと実際の状況がわからないので会場図面(CAD)をシミュレーターに取り込み、仮想の会場をコンピューター上に作り、そこに照明を仕込んでプログラムをつくる。
公演当日は、事前に作成したデータをもとに仕込んでから、リハーサルをし、ゲネプロ(通し稽古)本番という流れで行い終了後は速やかに撤収となる。

■劇団四季
もともとは早稲田大学の劇団だった。高度成長期にあわせて劇団も成長し、浅利慶太氏が「キャッツ」の版権を買ってミュージカルを始めた。
通常ミュージカルの版権は上演、台本使用、衣装、音楽など細かく分かれていて全部の権利を買わないと公演できない。
しかし、「キャッツ」だけは、全部の版権を買わなくても公演できた。因みに劇団四季は「キャッツ」の上演権と台本使用権しかなかった。
その後、ディズニー作品の公演を始めて劇団は大きくなっていったが、照明は版権の制約で全て細かく決められていたため版元の外人デザイナーが作ったものを完璧に再生するだけということに耐えられなくなり、7年ほどで劇団四季を辞めた。振り返ってみると劇団四季で最新の機材を使いテクニックを学べたことは、幸運なことだったと思う。
照明の仕事は、ステージスタッフから始まり、ステップアップするとピンフォローを担当する。それを何年もやって全体の流れがわかるようになるとオペレーターを経験し、プログラマーになり、デザイナーになるが、たまたま劇団四季がブロードウェイ(美女と野獣)の公演に向けてプログラマーを育成するという特殊な機会に入団して現場に放り込まれ、即プログラマーを経験させていただいたことに感謝している。
退団後は、アメリカでミュージカルなどを観ていたが、1年後に帰国して照明のフリーランスになった。
当初は、お芝居の照明しかやっていなかったが、現在は半分以上コンサートや歌番組などに携わっている。

■コンサート・ライブ
コンサートは本番が1日から3日間程なので、いかに早く仕込んでいかに早くバラせるかを追求する。
コンサート当日は、プログラマー、オペレーターは仕込んだものからどんどん「明かり」を修正していかないと間に合わない。その後リハーサルをやって本番になる。
ドームなどは、舞台も何もないところから始まるので照明が入る一日前に鳶職さんが骨組みをつくる。
基本的に照明は明りの筋を見てデザインして行くので、会場にはスモークを充満させ、それに光を照らして筋が見えるようにする。スモークを出すのは、特殊効果スタッフで照明スタッフとは別だが、スモークが無いと照明は全く別な見え方になる。

■TVの歌番組
テレビの歌番組はカメラを通して映像を見るので肉眼で見た時と違う。現場では照明は暗くして演者を撮影し、カメラの感度を上げてセッティングしている。
テレビ番組は2週間分撮るので収録が長い。某TV局では、朝の3時にスタジオ入りし、セッティングして8時からリハーサルを始め、昼から収録して16曲撮ってバラす頃には、25時になっていた。

■オリンピック
新国立競技場は屋根がなく、昼間は明るくて照明が見えないため何もできない。日没から日が昇るまでが照明としての仕事の時間で夜になってからプログラムをする。
新国立競技場は競技以外は、行わないというコンセプトで造っていてコンサートをやることは、想定しておらず、電源もないので電源車を入れないと何もできない。
パラリンピックの事前準備でプログラムをしていた際には、電源車のガス欠で、電気が落ちて仕事ができなくなってしまった。しかも深夜で電源車の担当が帰ってしまっていたため朝まで仕事ができないというハプニングがあった。
TOKYO2020は、元々は1500台の照明機材を設置する予定だったが、コロナ禍で1年の延期となり予算がなくなったため400台ほどしか使えなかった。
また、直前に演出家が代わったことで連帯感もなく、骨子がない開会式になってしまった。最終的にテレビ関係の人たちが演出をしたため競技場の広さでやるイメージができず、内容が2転3転し、曲も前日に変わったりした。
オリンピックはアメリカのBBC(テレビ局)が一番力を持っており、彼らの言うことが絶対なので「ここから撮るからここに照明をあてろ」と言われたら、その通りにしなければならなかった。
因みに冬のオリンピックはオリンピック委員会も殆ど口を出してこなかったため、総合演出の浅利慶太さんも自由にやっていたように見えた。
冬と夏の両方のオリンピックに関われたことは、照明家としては稀なことであり、大変貴重な経験ができたことを嬉しく思う。

■こぼればなし
現在は、様々なところで使われている「ムービングライト」(動く照明)は、ローリングストーンズが 自分たちのコンサートのために特別に発注して誕生した照明である。